最後の広島市民球場! カープ圧勝とパンチョの店(2008.9.20)




今年は広島市民球場ラストイヤー。

この球場では私は過去2回観戦している。1回目は87年春の浪人確定後の山本浩二引退試合。特にコージ贔屓ではなかったが、広島の大学に行く友人(カープ贔屓)の引越し直後の下宿を冷やかしに行き、せっかくということで球場に参戦したものである。コージに代走ランスが出て爆笑したことを覚えている。2回目は10年くらい前の秋の消化試合で、ラドウィックが初勝利を挙げたそうなのだが、4回くらいで引き上げたこともあって試合よりは帰りにロペスのTシャツを買ったことしか印象がない。

一方相方は広島市民球場には一度も行ったことがないので、今年行くことは早々に決めていた。日程としては、交流戦ではなく普通のセリーグの試合に行きたいという希望がある中で、9月の中日戦とした。9月だと市民球場惜別モードはいくらかあるものの、余裕で首位のはずの中日とBクラス確定のカープ戦ならそれほど混雑もしないだろうと考えていたのである。

しかし、カープの快進撃と中日まさかの失速により、なんと同率で3位争いをする両者の最後の直接対決3連戦となってしまった。1週間くらい前になって慌ててホテルを探すがどこも満員。試合のチケットも購入できるか危うい状況。しかしホテルは相方が1時間くらいネットで格闘して空室を発見、試合チケットも売り切れ前日で抑えることができた。更に出発日の未明には台風も接近したが、出発寸前で関東を通過。こうして紆余曲折がありながらも、10年前に購入したロペスTシャツを着て家を出ることができた。

飛行機の中にはカープの赤いハッピを着た人がいたが、「KAWAI 7」のユニフォームを着た青い人もおり、中日ファンも最後の市民球場、CSを賭けた最後の決戦に向け集結しているようである。

球場正面に着くと、赤い人たちでごった返している。その人波をかきわけ代金振込みの控をチケットに交換。幸運にも手に入れることができたA指定席であるが、ただのチケットではなく、私のものは「選手応援セット」という企画ものチケットである。これは、座席の他に飲み物(ビール1杯又はソフトドリンク2杯)と選手似顔絵カープ坊やTシャツが付いてくるもの。Tシャツは、ブラウン監督・前田・栗原からコズロースキーまで色々なパターンがあり、キダゴーもあったのでそれにしようかと本気で迷ったが、さすがに赤いキダゴーのシャツを熊谷では着る機会も勇気もないので、この3連戦から発売された「復刻版カープ坊や」バージョンとした。これは、阪急とか近鉄に勝っていた頃のユニフォームを着たカープ坊やの絵柄であり、色もこのバージョンだけはアイボリーであるので、どこかで着ることができると思ったからである。

チケットに指定された席に向かう。今日の我々の座席は二階席。ここはあとから作った席なので、一階席に一旦入場してから二階に上がるという仕組み。すでにかなりの客がおり、もともと狭い二階席に行く通路や階段は更に狭く感じた。座席も3200円の座席にしては正直貧相、まあ、場所代といったところだろう。



座席は一塁側であったが、直射日光が当たってかなり暑いので、ビールを飲むことにする。ここの球場のビールは、生だと普通のカープ坊やの柄の紙コップであるが、缶ビールだと選手似顔絵柄のプラスチックのコップであり、先の選手応援セットTシャツの柄と同じものがかかれている。客が少なければ、ここでキダゴー選手柄を指定することもできると思うが、さすがにこの客の多さではそれはできず、1杯目は東出、2杯目はソヨギ。キダゴーになるまで飲み続ける気力はなく、ここで断念。

席に戻ってスタンド全体を改めて見渡すと、左翼の上の方は青いが、あとは見事に赤一色。CS進出に燃えるカープは、ファンも結構熱くなっており、1回裏から試合終盤まで、スクワット応援炸裂。かつて優勝したシーズン(除く75年)に雰囲気が似ている、あるいはそれ以上とも言われている。ここ数年、個人の大記録のかかった試合か、選手の引退試合しか満員にならなかった市民球場であるが、最終年であることを差し引いても、広島市民のカープに対する愛情の深さを垣間見ることができた。少しこの熱気をオリに分けて欲しいよね。
そんな熱いファンの後押しもあり、試合は一方的なカープペース。打ってはアレックス5打点、千試合出場を決めた東出猛打賞、投げてはマエケンが無四球で初完封など、カープ贔屓にとっては全く言うことのない試合であった。

私にとっては最後の広島市民球場訪問。普段の市民球場とは少々違った雰囲気であったかもしれないが、逆に熱さを感じることができてかえってよかったかもしれない。新球場でも、これ以上の熱気の中で試合ができることを期待したい。

遠征なので当然、夜の部もある。

私の友人にDというのがいる。彼は、1回目の野球観戦時(コージ引退試合)に一緒に神戸から広島に行って試合を見たというカープ贔屓なのだが、彼もこの試合を見る予定にしていた。しかし、ネットで座席の予約をしていたのにもかかわらず、入金期限を見逃してしまい、残念ながら入場できなくなってしまった。そんなDと、もう1人野球とは無関係の友人Kは、それでも広島にやってきた。試合中に何度か来たメールによれば、つけ麺を食べ、野球中継をやっている喫茶店で試合を見ていたあと、とある飲み屋で飲んでいるという。我々も、試合後遅ればせながらそこに参戦することとした。

その飲み屋は、「野球鳥きのした」という店である。市民球場からは徒歩15分くらい。なぜきのしたかというと、店長が木下さんだからであり、その店長は、かつてのカープの名選手である木下富雄氏(パンチョ)のご子息であり、パンチョ氏も毎日店にやってくるとのことなのである。Dは、カープの中で一番の贔屓選手は高橋ヨシヒコなのだが、パンチョ氏に関しては恐れ多くて順位がつけられないというくらいの存在。彼が試合を見ることができないのにやってきた最大の理由はここに来るためだと言っても過言ではない。

入店し、まずはスライダーと称する生ビールを注文。ストレートが水割りというように、この店では飲み物は球種で呼ぶこととなっている。そして食べ物は全てカープの元現選手の名前となっており、今日のヒーローであるマエケン(ヒナ皮)とか千試合出場の東出(笹身梅肉焼)、当然キダゴー(ピーマン肉詰)も注文。因みにメニューとの名前の関連性は、あってないようなものというか、古くからのメニューにはそれなりにある(例えば「大野」は「コージ」「ヒゲの木下」と並んで最初からあるメニューで、「ナス」なのだが、理由は大野が昔は色が黒かったから、だそうだ)が、後は選手がいなくなったら別の選手を当てはめるとのことだ。

しばらく飲み食いをしていると、パンチョ氏登場。現役時代は渋いプレーでファンを魅了したパンチョ師。Dはもちろん、私も非常に緊張してしまったが、自ら注文をとりに来たり、客と自由に話したりと、大変気さくな人であった。恐れ多くもカードにサインをいただき、写真まで撮らせていただくなど、非常にフレンドリーな対応をしていただいたのであった。

今日は予約が入っているということなので、1時間程度で退散をせざるを得なかったが、かなり満腹になってしまった。もう少し時間があれば、日本シリーズの話とかもできたのであるが、それは次回のお楽しみとすることとし、パンチョ師のお見送りにより店を出たのであった。

その後は同じ通りにあるカープOBの原伸次氏の鉄板焼き屋に場所を移して飲みなおしと考えていたがあいにく満席。仕方なくお好み焼き村でお好み焼きを食べた後、同じビルのカラオケ屋に参戦。最後は当然「それ行けカープ」の熱唱であり、(最後に出てくる91年優勝時の)古屋が三振した後ベンチから飛び出すパンチョ師の姿を見て、感激にむせぶのであった。

2008年のあしあと にもどる