アイランドリーグ 開幕!(2005.4.29)


kagawa
今年の4月29日に、野球界においてある画期的な試みが本格的にスタートした。四国アイランドリーグの公式戦が始まったのである。
四国アイランドリーグとは、四国の各県に本拠を置いた4チームによって行われるもので、メンバーは25歳以下の「プロ野球を目指す」若者たちである。ひっかかるのは、この提唱者はが石毛であること。彼は、非常に熱い男であるが、どちらかといえばそれが私は好きではないし、行動そのものが裏目に出たりてしまうタイプであるため、非常に不安を感じていた。しかし、今回はスポンサーも固まり、何とか開幕にこぎつけることができたのである。

ところで私はかつて、佐々木誠選手(元南海:現サーパス神戸コーチ)を追ってサンフランシスコ近郊の独立リーグ「ソノマカウンティ・クラッシャーズ」を見に行ったことがあり、野球そのもののレベルは決して高いとはいえないものの地元の手ごろな娯楽として受け入れられている姿に惹かれてしまっている。しかし、一方で佐々木選手のいたリーグは経営難ですでに消滅しているなど、運営が厳しいのもまた事実。日本版独立リーグとも言えるこの「四国アイランドリーグ(以下「石毛リーグ」とします)」が成功するかどうか、非常に注目をしているところである。
今回も、4月29日の開幕(松山)に行きたかったのだが、仕事とチケットの都合及び松山(坊ちゃんスタジアム)では野球を観たことがあることから、翌日30日の香川(高松オリーブスタジアム)での開幕戦を見に行くこととし、当日の昼前に高松駅に到着した。

高松には、3年前に来たことがあり、そのときには「喫茶ブレーブス」「野球鳥おかむら」などを訪問した。しかし、高松はそれ以外にも有名無名ネタとりまぜた野球スポットが数多くある。

まずは中央公園に行く。もともと高松市営中央球場があったところであり、今は公園となっているが、ここには地元が生んだ三原脩・水原茂の銅像がある。ちなみに日本ハムファイターズは、初代球団社長が三原氏、初代オーナーが先日亡くなられた大社氏、初代監督が三原氏の娘婿である中西太氏であるが、全員香川県出身である。その三原氏、実が今回私が旅の共に持ってきたのが三原氏を描いた「魔術師―三原脩と西鉄ライオンズ 小学館文庫 立石 泰則(著)」であったのだが、今までも数多く語られておりまたタイトルにもなっている「三原マジック」が、実はかなり理論に裏付けされたものであるなど、現時点でも先進的といえるような考えの持ち主であったことがわかる。

次に市の南側、栗林公園に近い場所にある「冨田義製帽所」に向かう。ここは、今はない球団の野球帽が売られている帽子屋である。店をのぞくと、阪急ブレーブス帽はなかったものの、近鉄の三色帽が山と積まれている。帽子を整理している店のおじさんに聞いてみたところ、注文があればダース単位で県内の倉庫から運んでくる、とのこと。残念ながらサイズがMとかS、あるいは子供用しかないのだが、それでも「観賞用に買っていく人が多い」らしい。

carshimatani
そして一気に北に向かう。高松が生んだ阪急ブレーブス名三塁手、島谷金二選手のご実家がある。高松駅から自転車で西に10分足らずの交差点の角に、「カーファミリー島谷」という車屋さんがあるのだが、これがそうである。当初は、車が何台か置いてあるだけの古い中古車屋しかなく、これがそうかと思ったが、交差点の反対側を見ると、立派な建物と住宅があった。中に島谷選手のポスターがあるといううわさもあったが、人の家なのでのぞくのはやめておいた。ちなみに私と島谷選手は「酉年の1月23日生まれ」で一緒なのだが、ということは島谷選手は今年還暦である.

その後腹ごしらえにさぬきうどんを食べ、ウインズ高松によったあと今日の試合会場のオリーブスタジアムに向かうこととする。

今日は高松での開幕ということで、駅前から無料バスが3往復出るようである。私は16時30分のバスに乗るべく、16時過ぎに高松駅に来たのだが、すでに少年野球チームの一団を含めて20人くらいが列を作って待っている。ほどなくバスが来て乗り込んだわけだが、その後も人が集まり、16時20分くらいに補助席も含めて満員となったバスは、発車してしまった。私が良く行く鎌ヶ谷ファイターズスタジアムの場合、土日で千人程度の観客に対してバス3往復で対応しているが、今日はおそらくその倍は来ると思われるのに、バスの台数は鎌ヶ谷と同じ3台とは、行きはたまたま乗れたが帰りが非常に心配だ。また今回のみならず次回以降も心配である。

そんな心配はともかくバスは海沿いを20分ほど走り、運動公園の一角にあるオリーブスタジアムに到着した。すでに、200人くらいが列をなして入場を待っている。中には、すでに販売されていたという香川オリーブガイナーズグッズを身に付けている人もいる。一方で、野球のユニフォームを来た人は無料入場ということもあり、プロ野球チームのレプリカユニフォームを着た人も目立つ。私も、ここで持ってきた「サーパス神戸 72FUJII」のユニフォームを着用する。ちなみにサーパスの穴吹工務店は、高松に本社がある。

入場するとグッズ売り場があり、香川オリーブガイナーズものを中心に帽子やTシャツなどが売られており、結構な人だかりができている。このあたりは、先日訪れた仙台と同じであり、地元球団のグッズを買って応援しようという意気込みを感じる。とりあえず選手名鑑とガイナーズのTシャツを購入する。
グッズ売り場の向かい側は食料と飲み物売り場である。香川らしく、さぬきうどんが1杯250円で売られていた。これがセルフであるという噂も聞いていたのだが、確認できなかったのが残念。また今回は気候もよかったのだが、ビールなどの酒類がなかったのも残念である。

スタンドの中に入ると、相手球団の徳島インディゴソックスがシートノック中であった。ノックをしているのは、元ホークスの柳田である。今日の両球団、監督・コーチは柳田の如く元プロであるが、選手はセレクションで合格した人だけであり元々は無名のアマチュア・学生ばかりであるため、私が知っている選手は1人もいない。しかし、地元出身で甲子園に出た選手もいたり、すでにオープン戦も行われていたことから、選手への声援もあり、中には応援の横断幕のある選手もいた。


ノックが終わると開幕セレモニー。両球団選手紹介のあと、石毛登場。相変わらず熱い口調で「皆さん応援してやってください」という挨拶。でもこの人の場合、ものすごく立派なことを言ってても一番印象に残るのは「(苦しいくらいの)暑さ」なんですわ、私にとっては。その後始球式には香川県知事も登場し、プレイボール。客席は知らない間に結構の入りとなっている(公式発表は4321人 何か右肩下がりの数字が縁起わるいなぁ)。

試合は詳細は省略するが香川が8対3で徳島に勝利。ishige
香川の一番打者三輪(彼は1月23日生まれである)の3盗塁、ホームランを含む3打点の羽田、先発して8回を抑えた伊藤などの活躍があったが、9回に出てきて三者三振で締めくくった松尾の速球の伸びが、いいときの本柳を彷彿とさせた。一方で試合時間が3時間を超えてしまったのが不満。このレベルでは駆け引きもそう必要ないし、もっとスピーディにやって欲しい。またエラーが6つ(うち徳島5つ)も出たが、ほとんど捕球ミスで、全般的に球際に弱い印象である。このあたりは、柳田に鍛えてもらわねばと思う。

応援については、地元香川側はメガホンをたたいての応援。まだ「かっとばせ」や選手個人名は出ておらず、声の出ていない藤井寺のような雰囲気であった。また、マスコットも登場し、グランドでのパフォーマンス時に着ぐるみが脱げてしまうアクシデントも起こるなど、ファンを喜ばせていた。それに負けじと、徳島側ではあるおじさんがリードを取り、少年ファンを巻き込んで一緒に応援。それが西宮のハムやロッテ戦で三塁側によくいたオヤジを思い起こさせた。

帰りのバスで後ろに私より若干歳が若い男性野球ファン2人が会話していたので聞き耳を立てていると、選手の名前を覚えねば、というところからのスタートのようだ。(その人達は)次は何時行こうか、というような話をしていたので、名前を覚えるのも時間の問題だろう。選手の方への注文として、野球そのもののレベルアップもさることながら、地域のいろんなイベントに出て欲しいね、というような話もしていた。私としては、こうしたファンが、鎌ヶ谷オヤジみたく時には暖かく時には厳しく選手を見守る存在になってくれればと願うところである。

2005年のあしあと にもどる
アイランドリーグ にもどる。