エース前川、炎の連投!(2010.6.6)


今日の試合は昨日と同じアイランドリーグの香川オリーブガイナーズ対長崎セインツ。5月の雨天順延の試合が組み込まれたため、何と午前10時開始のダブルヘッダーである。高校野球を除くと、午前中開始の試合を見るのは3年前に米国・カムデンで“3交替勤務者のため”午前9時開始となった試合を見て以来2度目である。

今日の主たる目的は今年から香川に加入した元近鉄の前川勝彦投手。今季は先発ローテーションの一角を担いここまで6勝1敗と好調のようであるが、何と言っても『前川』である。生まれ変わったのかどうなのかは投げているのを見ないとわからないところである。
ローテーションから考えると、今日のダブルヘッダーのどちらかに先発するだろうと期待して旅に出たのであるが、何とおととい金曜日の試合に前川がリリーフ登板してしまった。昨日発表された予告先発にも2試合とも彼の名前はなく、確実に彼の姿を見られるか若干心配となりつつ、球場に向かった。

レクザムスタジアム。本名は香川県営野球場であり、ついこの間まではサーパススタジアムと名乗っていた球場である。この球場に来るのは4回目であるが、実は前回、2年半前に来たマスターズリーグの試合の際に野球仲間に電撃結婚報告をしたという、個人的に思い出深いはずの球場なのである。だがそれを思い出したのは第2試合途中にトイレに行ったときであったのだが。

さて注目の前川であるが、結論から言えば期待以上に魅せてくれた。

まずは第1試合。アイランドリーグでは5回終了後に控え選手がグラウンド整備を行うのだが、リリーフ登板をするならばブルペンで練習をしているだろうし、ましてや30歳を超える大ベテランであるので出番はないだろうと、全く期待せずにグラウンドを見ていると、若い控え選手が元気に飛び出した最後にノシノシと背番号28番が出てきてしまった。明らかにやる気のない様子でトンボを引いており、いかにも『前川のトンボがけ』という姿で思わず苦笑。
ただこの時点でトンボを引いているということは逆に登板は期待薄かと思ってその後試合を見ていたら、香川が勝ち越した7回表からいきなり登板してきた。

スピードは130キロ台であるがなかなかテンポ良く投げていると思っていたら、2人目の打者にストレートの四球を出すなど相変わらず。結局ランナーをもう1人出したが何とか無失点に抑えた。マウンドから堂々ととベンチに戻る姿だけは、横綱級だ。

1イニングとは言え前川が投げるところを見られたし、今日は埼玉までしかも電車で帰らねばならないということから、第1試合で退場しても良かったのであるが、せっかくなので第2試合も見ることにする。

第2試合に入ると見る方も正直集中力が散漫になりがち。そんなややボォーッとしながらグラウンドを眺めていた中盤、さっきまでの投手とは明らかに違う左投手がマウンドに上がっている。しかし2時間ほど前には見た記憶がある。

前川であった。

ダブルヘッダーの2試合とも投げると言えば10.19の吉井と阿波野くらいしか記憶がないが、ここで前川というのはそれほどの勝負手なのだろう。

第2試合でも第1試合と同じくノラクラとした投球。ヒットを打たれたりしながらも、味方の好バックホーム・捕手の好ブロックもあり、2イニングスを何とか0点で抑えた。

私の後ろに『(かつて香川で活躍した)丈武(現楽天)と堂上(現ソフトバンク)は今も気になっている』というような話をしていた年配のファンの方が前川についても語っていたので聞き耳を立ててみると、「体は他の選手に比べて大きい。(背番号28の左投手ということもあってか)まるで江夏だ。」「微妙なコントロールがある。NPBにいたのが生かされている。」とのことだ。コントロールの話は全く意外で今日の投球を見てもかなり疑問に思わざるを得ないが、2試合を見たところでは、松本幸行の『ちぎっては投げ』を彷彿とさせるテンポの良さが最も印象に残った。

結局試合は2試合とも香川の勝利。
前川は第2試合の勝ち投手と発表され、これでリーグトップとなる7勝目。勝利投手賞として、スッポン鍋の御食事券が贈呈された。

球場に着いて7時間経過した第2試合の後に恒例のお見送り。第2試合を見たのはこれ目当てでもあるのだが、香川・西田真二監督、天野浩一(元広島、前福井球団監督)、マエチュウこと前田忠節(元近鉄、楽天など)両コーチにサインをいただく。そしてまたしても首脳陣ばかりかとお叱りを受けそうなので、我らが前川にもサインをいただきにあがる。

前川にカードを差しだしつつ、1つ質問をしてみた。
「今季はこれからずっとリリーフなんですか?」
すると前川は
「いや、今週だけです。来週からは先発に戻ります。」
とのこと。
首位を僅差で追う香川にとっては、今週の連戦では前川を切り札として使うという、勝負手に出たわけである。今日も代打に出した2人がホームランを打った香川の西田監督。現役時代と同様、采配でも勝負強さが光っている。

前川に関しては香川でのデビュー戦で審判に暴言を吐いて退場を喰らっていたこともあり、どちらかと言えば怖い人というイメージを持っており、先の質問も清水の舞台から飛び降りる思いだったのだが、私に対しては勿論、私の後にいたファンの子供とも写真撮影に笑顔で応じるなど、そのイメージは全く消え去ったのであった。今後も頑張っていただき、秋には群馬でお会いしたいところである。

【その他】
(1)長崎セインツ
・昨日は三重・四日市でゲームがあり、その後移動して今日はダブルヘッダー。私も前日三重から高知までの移動をしており、お互い大変であった。これからセインツは長崎、私は埼玉に戻るわけで、お互い大変である。
・そのセインツは元広島・ハムの長富氏が監督であったが解任され、現在は元西武の古屋氏が監督、元讀賣の谷口氏がコーチという体制。両者には特に強い思い出がないが、古屋に関しては2004年の開幕のハム対西武戦でスタメン三塁起用され、「何でサード古屋がハムじゃなく西武なんだ!」と一人つっこみしたことだけが記憶にある。
・その他選手ではかつて新潟にいて群馬のトミーさんに侮辱発言をして出場停止を喰らった渡り鳥のネレーさんがいたはずだが姿が見えず。台湾の陽3兄弟で最もデキがいいとの噂もある次男坊が2試合ともショートで出場。
・福岡球団が準加盟扱いとなって九州唯一の球団となったことに加え、JFBLの三重・大阪球団とも対戦することになり、移動では他の四国4球団と比較してもかなりの不利があると思われる。何とか、九州にもいくつか球団を結成して欲しいと願う(九州にあと3つ残っている私の『全県制覇』のためでは決してない)。

(2)その他
・高知同様、グッズや売店はかなり充実している。グッズでは、今月から5人の選手のミニチュアが新発売ということで、しかもその中の1人が前川。しかしそれを手に入れるのは1回500円のガチャガチャをしなければならず、確率は5分の1。今日は2回も前川を見られたので絶対ついていると思い500円を投入したが・・・残念ながら前川のものではなかった。大人なので『大人買い』をして出るまで続けてもいいのだが、やめた。
・選手では背番号0番左打ちのレフトのマスダ(枡田)、背番号10番の大松(右打ちだが)、背番号21番の西崎といった、過去から現在に至るまでのパリーグの名選手が活躍中(何のこっちゃ)。因みに長崎のセカンドは水口である。
・入場時になぜか日清食品の「お好み焼き麺」をいただく。箱が結構大きくリュックに入らずに苦労したのだが、うどんの街でなぜお好み焼き麺?



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