プロ野球 マスターズリーグ(2002.1.10 大阪)
2001年より、プロ野球OBによるマスターズリーグが開催された。これは、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡に分かれてOBが「真剣勝負」のリーグ戦を行うという、従来にはなかった試みである。選手は、元の在籍球団や出身地、あるいは現在の居住地等により各チームに振り分けられるが、我が阪急OBはといえば、当然のことながら多くが大阪ロマンズ在籍である。また大阪には近鉄OB、それに昨年アメリカにまで応援に行った佐々木誠までいるので、シーズン前からこれは1つくらいは観戦しておかねばならないと考えていた。だがしかし、日程が発表されてみると、けしからんことに私が住んでいる東京では、どういうわけか大阪戦は組まれておらず、札幌や福岡、沖縄まで行けと言わんばかりであった。また、いざシーズンが始まってみると大阪が快進撃を続け、試合を見たいという気持ちが日に日に強まっていった。そこで、平日ではあるが交通費が最も安い大阪に乗り込むことにした。相手も松永やカズ山本他の南海OBの多い福岡(昨年東京で2試合も観戦したが)ドンタクズで不足なしである。
さて1月10日といえば関西では商売繁盛の十日戎である(関係ないか)が、実はその前日の大阪-福岡戦は、「福岡が松永のタイムリー等で2点先制するも、大阪が南牟礼の逆転3ラン!で勝ち越し、最後は古溝(及び佐々木誠、有田の好守備)が締めくくって大阪の勝ち」という展開であり、10日に大阪が勝てば監督のムッシュ吉田義男の17年ぶりの胴上げが見られるのである。私は阪急ファンなので、午後半休を取って羽田から飛行機に乗り大阪に駆け付けた。
まずは梅田に出て、カード屋に立ち寄る。私は阪急の古いカードとかを色々眺めていたのだが、背後で店の人が「今日は松永や高橋慶彦といった、マスターズリーグ選手関係のカードが馬鹿売れだ」というような会話をしていた。私はサイン用には阪急帽とソノマ帽(佐々木誠用)を持ってきていたので特にサイン用のカードを買う気はなかったのだが、同じことを考えている人は結構多いもんやと感じた。因みに当日私は会社帰りなのでスーツにコートという格好であったので、野球見に行く人とは思われてなかったという気がするが。
その後地下鉄で大阪ドームに向かう。
ドーム入場後は試合前の打撃練習とか守備練習を眺めていたが、それが終わるといきなり大阪の選手がスタンドに現われ、「これから10分間、サイン会を行います」とのアナウンスが。サイン会をやることは知っていたが、こんな形で行なわれるとは思わず意表を付かれた私は、とりあえず阪急&ソノマ帽を持ってスタンドで選手を探しまわることに。
当初は(私にとっての有名ところは)いなかったが、良く考えるとサインをもらうものが阪急&ソノマ帽しかないというのは阪急OB及び佐々木誠以外には失礼なので、慌てて通路にメガホンを買いに行く。とそこにおもむろにいた巨大な物体、それが亀山であった。現役時代は阪神にいたこともありあんまり興味はなかったが、特に誰の相手もしていなさそうだったので写真を撮らせてもらった。因みに1回目はフラッシュが出なかったが、亀山に「フラッシュ出てなかったですよ、もう1回撮りましょうか」ということで2回も写真を撮ることになった。因みに亀山、最終的には一番最後までサインをしており、昔に比べて大いに太ったが非常にいい人だ(左写真)。
その後メガホンを買いスタンドに戻ってくるとあっちこっちで人だかりが。とりあえず阪急系選手を探すべく走っていたら近くにいたのが最近マイブームに近い存在となっている元近鉄の栗橋茂。栗橋には買ってきたばかりのメガホンにサインをもらい、写真も撮らせてもらった。因みにその際、「札幌のMVPの賞金、その夜のうちにススキノに落としたでしょう」というようなバカな話はしないでおいた(右写真。後ろにいるのは元近鉄の佐々木修)。
次にいたのが佐々木誠。これはソノマ帽の出番だということで帽子の庇の裏にサインをしてもらったが、「これはかっこええ帽子やなぁ」と笑いながら言われた。私が「今年もアメリカに野球しに行くんですか?」と聞くと「うーん、それはまだ分からん」とのことであった。まあ昨年ソノマでも試合前にサインをもらったのであるが、そのときは緊張気味であったが今日は緊張感がなく他の客にも同じような感じで楽しそうに話をしながらサインをしていた(左写真。後ろにいるのは大石)。
そして次はモーヤンこと小川亨。彼は56歳でありながらマズターズリーグ打点王なのである。そして人柄も、かつて田舎のおっさん役でCMに出ていたこともある風貌のまんまである。私がサインをもらい、写真を撮ろうとすると「一緒に撮らなくていいんか?」と話をしてきた。私は(HPに載せたいため私が写ってもしょうがないので)「いや、小川さんピンでいいです」と言って写真を撮らせてもらったのであった(右写真)。
あと残り時間も少なくなり阪急系選手を探したが、私が入った自由席エリアではなく指定席の方にいたようであった(古溝の姿は確認)。というわけで残念ながら阪急帽へのサイン書き入れはなかったが、名選手たちのサインをもらい、写真を撮らせてもらい満足である。
サイン会後はHR競争。福岡からはチンネン高嶋、岸川、若菜が出場、大阪からは梅さん平塚、定詰、そして昨日HRを打った南牟礼が出場したが皆さん不調であった。因みに大阪の選手が打つ際の投手は山沖、捕手は大熊という『阪急背番号12コンビ』であった(でもなんで大熊が捕手なんでしょう?)。また競争後球拾い役の川藤がスタンドに投げ込んだボールをキャッチ、これもまたいい土産になった。川藤の手垢のついたそのボールには「little league」との印刷があったが、マスターズはリトルリーグの球を使用しているのだろうか?
それはともかく試合である。
先発は福岡・小林(元広島)、大阪・中西(球道)。内容に関しては省略するが、大阪の投手陣の好投(中西は前の試合と合わせて完全試合を達成)、小川・亀山を始めとする打線の猛打、それに満塁のチャンスで代打で登場したこの日1番の人気者川藤がきっちり勝利打点付きの先制セカンドゴロ!を打つなど見せ場十分の内容。
そして5−0で迎えた9回表2アウト、「あと1人」コール(私は阪急ファンなのでこのコールどんなことがあってもしない)の中打者は松永。『松永でゲームセット』というのはしゃれになってないなと思いつつ、投手の村田(元近鉄 16試合中15試合登板で防御率1点台)は2-0に追いこみ、「あと1球」コールに変わった中、痛恨?のデッドボール。まったく思い通りにはならんもんだが、試合展開に影響はなく次打者の藤本博史を打ち取り試合終了。ムッシュ吉田監督が宙に舞ったのであった(左下)。
ムッシュのあとはコーチや長老の梶本さん、それにお約束の川藤も胴上げ。杉浦さんの胴上げが見たかったな。セレモニーではムッシュの挨拶のあと川藤が呼ばれて挨拶をした。
さて冒頭にも書いたが今回なぜ会社をサボってまで大阪ロマンズを見に行ったのか。答えは2つあって1つは昔球場で応援した阪急(及び近鉄)OBが見たかったこと、もう1つは彼ら(ロマンズ選手)が現役時代とほぼ変わらぬパフォーマンスを展開していたからである。
第一の理由に関しては個別に差があるので省略するが、重要なのは第二だと思うのである。例えば今回、阪急(及び近鉄)OBが非常にチンタラしたプレーをしていたらわざわざ見には行かなかったと思われる。スカパーの画面や行った人からの見聞を通じて、石嶺の打撃フォームや打球の伸びが現役時代と全く変わっていないこと、モーヤン小川が初球ストライクを見逃すもその後快打を連発していること、古溝が抑えで何度となくピンチを救っていること、大石が打撃でも守備でもチョコマカ動き回っていること、というような情報を得て、何万もの交通費、会社の半日分の仕事、夜行バス乗車による体力を捨ててまで大阪まで行く価値があると判断できたのである(ついでに言うと福岡の松永に関しては久々の表舞台ということもあったが、本人の宣言通り現役時代以上のパフォーマンスを随所に見せてくれた)。ヨタヨタプレーなんか金を払ってまで見たいとは思わない。やはりいくつになってもかつてのあの選手のすごさは変わらんな、というのを見たい、ということだけである、私は。
といいつつも私みたいな阪急ファンは残念ながら少数派であり、南牟礼豊蔵がいくら頑張っても正直一般ファンは来ない。今回でいえば村田兆治のような有名かつ今も140キロ投げる、という選手が多いのが望ましいが、ジャンボ尾崎、板東英二、池永のような話題性のある選手も必要だし、1・2試合だけ出るだけのような大物選手(張本や田淵がこれか)の知名度にも頼らざるを得ない。来年以降はどうなるか分からないが、知名度の高い選手が現役時代と変わらぬパフォーマンスを見せようとするような魅力的な舞台になっていくことがマスターズリーグに求められる大きな宿題である。
最後に、今回の試合後の川藤の挨拶を掲載する。これはマスターズリーグというよりは野球そのものに関しての深い言葉であると認識している。
「これが野球です。どんだけ年とっても皆でやれば楽しい。野球はくだらねぇこと考えてやるもんじゃありません」
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