特急りょうもう号で行くBCリーグチャンピオンシップ第三戦(2010.10.16)


NPBがクライマックスシリーズで盛り上がっている今日このごろ。

独立リーグも大詰めである。先週末は前川の活躍で香川がアイランドリーグの優勝を決めたが、独立リーグチャンピオンシップでその香川と戦うBCリーグのチャンピオンを決める戦いは続いている。先週末から群馬対石川の5戦制で行われており、先週末は2つ戦って1勝づつ。今日勝った方がリーグ優勝にリーチである。

今年は病気と引越しもあって群馬ダイヤモンドペガサス戦観戦の機会は圧倒的に減ったが、前川との戦いはぜひ見たいので、今日は群馬の応援に前橋・上毛新聞敷島球場への参戦を決行する。去年のチャンピオンシップのように藤岡で開催されてしまっていたら、車を売ってしまった身としてはお手上げであるが、前橋ならなんとかなる、ような気がする。そもそも、藤岡には失礼だが少なくとも王者を決める戦いならば、やはり県内で最もちゃんとした球場である敷島か、交通の便が良い高崎ですべきである。群馬球団も昨年勉強したのか、今年は早々に敷島球場を押さえていたようだ(笑)。

とはいえ前橋は近くはない。しかし、浅草から群馬県東部へは、東武の特急りょうもう号が走っており、これで前橋までの距離の8割程度まで稼ぐことができることから、まずは生涯初めて乗るりょうもう号で出発することとする。

浅草駅。隣のホームから出る特急スペーシアは、日光方面の紅葉シーズン到来のためか満席のようであったが、りょうもう号はガラガラ。2人分の座席を占拠して、スポーツ新聞や本を読んでいるうちに群馬県へ突入、風景は一気に田園地帯へと変わっていた。足利・太田・桐生と、かつて住んでいた熊谷と利根川の対岸にある街を経由して赤城に到着。

今度は上毛電鉄に乗り換える。今は亡き足利競馬に来たときであったと思うが、一度乗ったことがある。昔井の頭線に使われていた車両が2両編成、30分ごとに前橋と桐生を往復する、典型的なローカル電鉄である。前に来たときにはなかったと思われる『心臓血管センター』という駅に心臓と血管が飛び出しそうになったが、40分程度で無事前橋に到着、そこからバスで球場に向かう。

上毛新聞敷島球場は、今年一部改装され、内野席が個別シートになっていたり、いわゆるフィールドシートができたりしている。常勝球団となりつつある群馬ダイヤモンドペガサスであり、客がそれなりに入っているかと思ったが、スタンドが大きいことを差し引いても寂しい入り(8百人台)。そんな中で石川から来た応援団は長旅の疲れもあろうと思われるが賑やかだし、群馬のスタンド上部の横断幕には新井潔コーチのものまで出現するなど、それなりには盛り上がっている。

試合は石川が1勝ながら防御率1位の佐藤、群馬がノーヒットノーランの清水という先発投手で開始。

最初は淡々とした投手戦であったが、3回に石川が1点先制、5回にはソロホームランのあとエラーも絡み、元ホークスでBCリーグ打点王である本間満のタイムリーもあって石川が3点追加。佐藤は打てそうな感じはするのだが群馬打線はなんだか打てない。群馬にとって4点はかなり重いと感じられ、景気づけに飲んだビールも回ってきて、まぶたも重くなってきてしまった。

しかし、目の前をある方が通りかかり、一気に眠気がぶっ飛んでしまうことに!

その方は、かつて関西の名門球団に所属した守りのスペシャリストであり、フェンスによじ登ってホームランをもぎ取ったスーパープレーは30年近くたった今もアメリカ野球殿堂で映像が流され、全米の野球ファンを驚かせているというスゴイ方である。今は某球団のスカウトであり、ドラフトを10日後に控え、指名する確率の高い特定の選手の最終チェックに来ているのだろうか。

というわけでそこからはその方が気になって気になってしようがなくなってしまったが、その方は「いかにもスカウトの仕事をしています」という振る舞いではなく、終始後ろの人(他球団スカウトか群馬・石川の球団職員かはわからんが)と会話していたので、お目当ての選手は今日は出なかったのかもしれない。

私はその方への関心を振りほどき、何とか試合に戻ることができた。

7回に群馬がカラバイヨの後釜でありオリックスも狙っているという謎のベネズエラ人リバスのタイムリーで1点を返し、なおもチャンスで石川はリリーフに大輔を送る。大輔と言っても加藤ではなく、早川でもなく、○○(お好きな苗字を入れてお楽しみ下さい)でもない。高校時代に1試合23三振を奪って北陸三羽ガラスと騒がれ、その後は横浜球団身売りの遠因とも言われている?森大輔である。

大輔は初球をいきなり大暴投でランナーを進めてしまい、その後犠牲フライを打たれたが、BCリーグを代表する好打者の一人である山田憲を打ち取って何とかこの回の群馬の攻撃を2点で止める。しかし続く8回は先頭をストレートの四球で歩かせて降板。投げ方が前川に似ているのだが、何かその劣化版?という印象。少なくとも某スカウトは彼目当てではないはずだ。

結局群馬は後続のリリーフ投手を打てず、試合は石川の勝利となった。群馬の秦監督は、試合後のインタビューの中で打撃陣の調子は良くないと明言。その上で守りで目に見えないものも含めてエラーが出てしまっては勝てないのも止むを得ないところである。とにかくあと2つ勝つしかなくなってしまった。

試合後は某スカウトは早々に帰られたようなので、まずは石川の森慎二監督にサインをいただく。森監督は現役(西武)時代は自由奔放な印象があったが、まだ三十代半ばと思われるのに頭に白いものが見えており、かなり苦労されていると感じた。
その後首脳陣だけを待っているのではないところをアピール(誰に?)すべく、ホンママンにもサインをいただく。彼の古巣のホークスに歩調を合わせるがごとく、石川球団も日本一を争うリーグ代表の座にリーチである。

石川のバスを見送ったあとは、謎のベネズエラ人リバスに接近し、群馬帽子のカラバイヨのサインの隣にサインをいただくことに成功し、それで無事撤収。

帰りは変化をつけることと時間の関係から、前橋駅からJRに乗車。次のダイヤ改正で臨時列車に格下げされるらしい特急水上に乗り、懐かしい深谷や熊谷の街を通って家にたどり着いた。

(追伸その1)
7月に私が最後の1個を買ったと思われていたカラバイヨのキーホルダーが売られていた。チクショウ(笑)。やはりワシみたいなヤツがまだいて商売になると踏んだのであろう。これも買ってやろうと一瞬思ったが、大人気ないのでやめた。試合後に再度店を覗くともうなかった。

(追伸その2 略して伸2)
香川の西田真二、群馬の秦真司、石川の森慎二。現時点で独立リーグチャンピオンになれる可能性のある監督は「トリオ・ザ・シンジ」じゃないか? と今書きながら気づいた(笑)。

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