仙台七夕野球フェスティバル(2003.8.1)

七夕である。七夕といえば、仙台である。というわけで仙台では、この時期にあわせて「七夕野球フェスティバル」なる催しが開催されている。昨年度も行われたこのイベントは、今年も8月1日に開催されることとなった。私は、宮城球場にはまだ行ったことがなかったものの金曜でもあり行こうかどうか迷ったが、出場予定選手に松永の名を見た瞬間、私は当日の休暇届を上司に提出していた。


東京から仙台は、東京から名古屋とほぼ同距離であることから、名古屋行きに良く使う、夜行バスや青春18切符を使うという方法も考えられたが、今回はそれはやめにして「たび割セブンきっぷ」という新幹線の割引切符を使うこととした。これは、往復約14000円と、通常の新幹線での往復と比べると宿代が浮く程度は安いのであるが、ネックが1点あって、それは朝6時12分東京発の新幹線に乗らねばならないことである。まあ、早起きには自信があるので問題はないのだが。


というわけで仙台駅には朝9時前に到着。メインであるOBオールスター戦はあと9時間も後であるが、宮城球場に行けば、草野球をやっているはずである。朝飯を食べた後、1週間前から頻発している地震で大きな被害の出ている地域を走るJR仙石線に乗り宮城野原駅に向かう。地下の駅から階段を上がると目の前にあったのがだたっ広い公園。ここには陸上競技場やかつて青葉城も四股を踏んだと思われる?相撲場などがあり、その一角に宮城球場があるのだ。因みに道路を挟んだ向こう側は仙台育英高校で、ちょうど当日は高校野球県予選決勝に出場するのだ。普段なら宮城球場での開催だが、雨で日程が延び、野球フェスティバルに球場を奪われ、仙台の南の名取愛島球場での開催なのである。その応援に行こうとする学生がたくさん集まっていた。ハムファンである私は、「金村がんばれ」と叫ぼうとしたが、やめた(因みに金村は当日の西武戦に投げ、見事勝ち投手になっている)。


宮城球場に着くと、当然人影はまばらである。しかし、中では予定通り草野球をやっており、スタンドにも入れる。この草野球も実はフェスティバルの1つで、総合受付で手続きをすれは試合に参加できるようである。当然、手続きはせず、スタンドに入る。
宮城球場だ。独特のスコアボード(注:私はオリオンズの『O』の右上がヒゲの如く伸びているのが印象に残っている)、萩の月の宣伝、石段の内野スタンド・・・。やはり屋外球場はすばらしい。しかも、会社を休んで草野球を宮城球場で見る、なんと贅沢なことか。


しばらくしてサイン会の整理券を配る時刻となったので外に並ぶ。当初聞いていたところでは、整理券をもらえれば何人でも好きなだけもらえる、という話であったが、実際には7から8人毎の3つのグループに分かれ、並んだ順にそのグループから1つを選び、サインをもらう選手をくじを引いて決めるというものであった。このために阪急を中心とした選手のカードを大量に持ってきていた私は、話が違うので文句の1つでも言おうと思ったが大人げないのでやめておいた。
グループ分けはどういうわけか1グループだけパリーグ関係がかたまっており、私は当然そこを選んだ。ちなみに選手は張本・高橋直樹・松永・石嶺・山本和範・高橋智・香川・弘田という面々で、私は弘田以外のカードは持ってきていた。結局引いたのは山本和範であった。阪急ファンとしては微妙でもあるが、個人的には満足である。
その後出店で古い野球本が売られていたので見てみると、数年前に豊田市で開催された「キミは杉浦を見たか」展のパンフが3000円、カズ山本自伝「マイストーリー・マイウェイ」1000円、郷愁!オリオンの星たち800円などマニアックなものが売られていた。阪急ものは既に家にあるものしかなかったのでここでは特に何も買わず、いったん仙台駅に戻り昼飯を食うこととする。


戻って出店に行くと杉浦忠のパンフやオリオンズ本は既に売れており、結局本は買わず、再度球場内へ。草野球が終了し、ちょうど少年野球教室の始まるところであった。私はいかにも選手父兄のふりをして、グランドに潜入する(実際は父兄のふりをしなくても簡単に入れる)。ここで初めて本日参加の選手が登場する。特に注目していたのは失踪騒ぎのあった松永であったが、隣に並んでいた石嶺や上川と談笑していた(石嶺とは、ゼスチャーから想像するに、腹の出具合の話をしていたようだ)。そしてダイエーの31番のユニフォームの投手がいて、永射ってメンバーにいたかなと思っていたらそれが今井雄太郎であった。


野球教室でも我が阪急勢は指導に大忙し。内野手担当の松永は水上や上川と組んでキャッチボールを中心とした守備の指導、打撃担当では石嶺と高橋智が二人組でトスバッティングでの指導(右写真)、簑田はシニアリーグと思われるが少数精鋭で2.3人を相手にきめ細かなスイングの指導をしている。投手担当では今井がキャッチボールをしている子供を捕まえて身振り手振りの指導と、それぞれ熱心に子供を教えている。正直子供がうらやましい限りだ。私にもし息子ができたら、いや娘でもぜひ参加させたい。
その光景を見つつ、私は合間に選手にサインをもらおうと画策し、何人かの選手からゲットすることができた。江夏には、マウンドにたたずんでいたところサインをもらったわけだがとても渋かった。そして内野の指導も終わり手持ち無沙汰となった松永にサインをもらっていたところ、突然「OB選手にサインをもらうのはやめてください」という放送が流れてしまったのである。しかし我らが松永は「そんなのサインしても構わないですよねぇ(注:敬語でした)」と言いながら私の出したカードにサインを下さったのだ(左写真)。マツ最高!結局阪急勢では高橋智・簑田にもいただき、他には大沢親分(ハムOB)、江夏(ハムOB)、上川にサインをもらうことができた。
そして私がサインを集めていた頃、午前中はベガルタ仙台の練習を見ていたというつねよさんと合流する。


その後は“本当の”サイン会のため再度球場の外に出る。グッズ屋も店開きをしており、覗いてみると、軒先にファイト君のバット風船が釣られているのだ。初めは、それを売ってくれないかなと思っていたが、実際に売られている品物を見ると驚きである。ある一角に、何と南海ホークスやファイト君の前のファイターズのキャラクター(オレンジ色のファイターズユニを着た子供の絵)の下敷が売られているのである。しかも、値段を聞くと100円だという。我々はすかさず買占めに走った。結局私は河埜・藤本修二・畠山(投手)とファイターズ少年の下敷を購入。店の人からは「マニアですねぇ」と言われてしまったが。因みに畠山下敷は大学時代に下宿の火事でなくして以来約15年ぶりに取り返したことになる。
あと、カードショップ(大阪のカードダイナスティ)も出店しており、店の裏にアルゾーラの阪急ユニフォームが展示してあった。


そうこうしているうちにサイン会が始まる。自分の順番を待っていると前に並んだライオンズというチームの少年は石嶺の整理券を持っている。交換という手もあったがやめといた。私は「石嶺選手は僕が試合を見に行くと良くホームランを打ったよ」という話をしたがどうも受けが悪かったようだ。そして「平松がくればもっと人が集まったのに」と意味不明のことを言い出すのである。平松?園田競馬の騎手か?とも思ったが、どうもかみそりシュート遣いのことのようだ。ますますもって意味不明だ。敢えて突っ込みはしなかった。
山本和範には以前どこかのカードショーで購入した初代近鉄時代のタカラカードを差し出す。「お、珍しいなぁ、俺もこのカード欲しいわ」などと言われながらサインをもらった。


そして試合開始である。因みに雨がポツポツと降ってきた。また『東京ドリームス専属カメラマン?』のまるりょーさんとも一緒に観戦、諸々の貴重なお話も聞かせていただく。
阪急勢では、パリーグの一番三塁で松永が出たがそれ以外は控え。しかし4番DH張本など、どうせ1打席で引っ込んで石嶺が出るのだろうというのが見え見えのスタメンもあった(事実そうであった)。試合は柳田(ダイエー)のタイムリーで先制、その後前年度MVPであった今井が打たれて逆転を許すが、またしても柳田のタイムリーで逆転、その後も点数を加えたパリーグが7対2で勝利を収めた。MVPひとめぼれ1年分は柳田(地味だ!)、最優秀投手ひとめぼれ半年分は八木沢、その他優秀選手などにもひとめぼれ10キロ(2か月分)が贈られた。

【阪急勢の活躍】
・松永・・・打っては3安打、走っては1盗塁と三塁への暴走と元気なところを見せつけ、優秀選手賞を獲得。守備では打球を追わない場面もあったがまずは一安心。
・石嶺・・・1回裏から張本の代走で出場、実質4番DHで2安打3打点(でも商品なし)。打球は伸びはなかったが角度や速度は現役時代のままである。
・高橋智・・・途中出場。打ったっけ?四球で2回ほど出塁したような気がするが。
・簑田・・・代打であっさり凡退。試合後半は一塁コーチとして出場。
・今井・・・ピンチでリリーフで登板、打たれて逆転されたものの裏に味方が逆転したあとはきっちり抑え勝ち投手。

【その他】
・南海勢・・・MVPの柳田を始め、山本が優秀選手、藤本博史も含め活躍。なお当初出場が予定された山内和宏はいませんでした。
・大塚光二(西武)・・・試合前は草野球選手との真剣勝負で三振、イニングの合間にチアリーダーと一緒に踊り、表彰式では「俺は表彰ないの?」と聞いたりするなど派手なパフォーマンスを披露。だたし試合後球場から帰るときには誰にも気づかれなかったのがちょっと寂しかった。
・ロッテ勢・・・仙台ということもあり、ロッテOB選手が登場すると川崎時代のようなカネ太鼓の応援が復活。選手も八木沢の好投、水上の華麗な守備などで応えた。上川は2打席とも初球打ちし、応援の時間を与えなかった。
・完全試合男・・・今井雄太郎、八木沢、島田と3人の完全試合達成者が揃い踏み。15人中3人が集結したことになる。因みに今井・八木沢は仙台で達成したものであり、島田は宮城県出身ということで、この場に相応しい選手たちである。島田はあまり速い球を投げることはできなかったが、そこで容赦なくヒットを打ってしまったのが我らが松永である。
・チンネン高嶋(オリックスブレーブスOB)・・・少年野球教室ではビジター用牛ユニ、試合ではホーム用牛ユニと使い分けていた。


試合後はつねよさんの紹介により実行委員長の竹内さんの案内で懇親会場に招かれる。入るといきなり佐々木信也と西田(元広島)がおり、その後も夜の街に繰り出した選手を除き半分程度が出席。懇親会といえど選手の食事会のような感じだったのでさすがにサインとか写真を撮ることはできず、阪急勢で唯一の出席だった今井が退席したところで我々もお開きとすることとした。

やはり旅には出るもんだ、マスターズリーグ日程をにらみながら遠征計画でも考えるか。

※敬称は略させていただきました。なお、画像は後日。

2003年も阪急ブレーブスに戻る